「お盆になると作るナスときゅうりの馬って何?」
と、疑問に思ったことはありませんか?
ご閲覧いただきありがとうございます。
大湯石材店の横山です。
お盆の時期になると、キュウリやナスに割り箸を刺した「精霊馬(しょうりょううま)」や「精霊牛(しょうりょううし)」を目にしますよね。
ただ飾っているだけでは、その由来や正しい作り方、処分方法をご存じない方も多いのではないでしょうか。
この記事では…
– 精霊馬・精霊牛に込められた意味や由来
– 材料や向きにこだわった作り方・飾り方のコツ
– お盆の期間、そして処分時のマナー
– 江戸時代の意外なエピソードまで
をわかりやすく解説します。
これを知っていると、お盆を過ごすにもなんとなく準備していた精霊馬も、意味を知ることで一層大切に感じられ、心を込めてお迎えできるようになりますよ。
ぜひ最後までお読みください。
精霊馬とは?由来とその意味
お盆に飾るキュウリの馬とナスの牛は、それぞれ「精霊馬(しょうりょううま)」「精霊牛(しょうりょううし)」と呼ばれます。
これは、ご先祖様の霊があの世とこの世を行き来するための乗り物を表しているといわれています。
〇キュウリ…精霊馬(しょうりょううま):「行きは馬で早く来てほしい」という願いを込めたもの。
〇ナス…精霊牛(しょうりょううし):「帰りは牛でゆっくりと、荷物をたくさん積んでお帰りください」という意味を込めたもの。
最近では、凝った精霊馬や精霊牛を作り、SNSに投稿されている方もいらっしゃいますよね。
こうした想いは、先祖を温かく迎え、心静かに送り出す日本らしいおもてなしの表れと伝えられています。
また、宗派や地域によってはキュウリとナスが逆の意味を持つ場合や、精霊馬を飾らない場合もあります。
たとえば浄土真宗では、霊が行き来するという考え方をとらないため、精霊馬を作らないこともあります。
精霊馬と精霊牛の作り方
【材料】
・キュウリ 1本
・ナス 1本
・割りばし 2膳(キュウリやナスが小さい場合は、爪楊枝など)
・カッター
馬っぽく速く走れそうな細めのキュウリと、牛っぽくゆるやかなカーブを持つナスを用意します。
こだわりが特にない方は、普通のキュウリとナスで構いません。
割りばしを馬と牛の脚に見立ててカッターで切れ目を入れ、折って使います。
馬は長め、牛は短めにすると「らしく」なります。
※お子様がカッターを使用される際は、必ず保護者の方同伴で目を離さないようご注意ください。
キュウリとナスにそれぞれ4本ずつ足を刺して、完成です。
少しナナメになるように刺すと安定します。
足に使う素材は、おがら(麻の茎の皮)でも構いません。
おがら(麻の茎皮)って?神聖性と迎え火との関係
おがらは昔から魔除けや清浄を意味する素材として使われてきました。迎え火に用いることで、ご先祖様が迷わず帰ってこられる目印になるといわれています。
精霊馬と精霊牛を置く場所は?いつからいつまで飾るの?
1.お仏壇や盆棚(精霊棚)に飾る
飾る場所
-
仏壇の前や、盆棚(精霊棚)の上に置きます。
-
他の供物や花、お水と一緒に並べます。
※「精霊棚」とは
お盆の時期にご先祖様の霊を迎えるために、仏壇とは別に設けられる祭壇のことです。
飾るタイミング
- 精霊馬は、お盆の入りである13日(地域によっては7月盆・8月盆)に飾り始め、送り盆の16日まで置くのが一般的です。
- 期間中は盆棚へ飾ったままにすることが一般的ですが、地域によっては迎え火や送り火のタイミングで玄関先に出す場合もあります。
向き
迎え火では内向き、送り火では外向きに置きます。
長時間外に放置すると虫や動物が来たり、傷んだりしてしまいますので、外に置く際は短時間で済ませることをおすすめします。
-
迎え盆(13日)
-
頭を家の内側(仏壇側)に向けます。
→ ご先祖様があの世から早く帰って来られるように、馬に乗って向かってくるイメージ。
-
-
送り盆(16日)
-
頭を外側(玄関や外の方向)に向けます。
-
そのほか、以下のような置き方もあります。
-
精霊馬をお仏壇の向きに、精霊牛を玄関の向きに置き、迎え盆や送り盆では配置を変えない。
精霊馬と精霊牛を飾る配置は、盆棚の両端に置いたり、お供え物より奥に置いたりなど、家の慣習や地域によって異なる場合があります。気になる場合は親戚や地域に詳しい方へ話を聞いてみることをおすすめします。
2.お墓に飾る
-
墓前の供物台や花立の近くに置きます(ただし長時間は置かない)。
-
参拝時のみ飾って持ち帰る地域もあります。
飾るタイミング
-
迎え盆(13日)のお墓参りの際に持参し、花や供物と一緒に墓前に供えます。
-
期間中に何度かお墓参りをする場合は、その都度新しいものを供えると良いでしょう。
飾る場所
-
墓前の供物台や花立の近く、安定した場所に置きます。
-
風や雨で倒れないよう、安定感のある配置を心がけましょう。
向き
-
明確な決まりはありませんが、迎え盆では墓石に向けて頭を向ける(ご先祖様を迎える)、送り盆では外向きにするのが一般的です。
-
地域や菩提寺の習わしがあれば、それに従いましょう。
注意点
-
夏場は生ものがすぐ傷むため、長時間置きっぱなしにしないことが大切です。
-
小動物や虫を呼び寄せやすいため、参拝後は持ち帰るのが安心です。
-
墓地管理者によっては、生鮮供物の置きっぱなしを禁止している場合があります。
並べ方
-
左右どちらに置くか
-
厳密な決まりはありませんが、
馬と牛を左右に分けて置くと見栄えが良く、どちらも目立ちます。 -
馬を向かって右、牛を向かって左に置くパターンが多いです。
-
処分方法のマナー
ご先祖様の乗り物として使ったものは基本的に食べないのが現代の風習です。
また、暑い時期ですので衛生面や健康管理の観点からも、食べることはおすすめしません。
一般的に、以下の方法があります。
-
塩で清めて白紙で包み、可燃ごみへ出す
-
土に還す:庭やプランターなど清らかな場所に埋める
-
お寺での焚き上げ:お焚き上げ供養を行ってもらう
精霊馬にまつわるちょっとした豆知識
江戸時代のユニークなエピソード
江戸時代の豪商・河村瑞賢は、精霊馬や精霊牛を塩漬けにして保存したという逸話が残っています。
当時は食料の無駄を避けるため、こうした再利用も行われていたのと言われています。
現代よりもずっと涼しい気候だった時期には、可能だったのかもしれませんね。
まとめ — 精霊馬・精霊牛の意味を知って心を込めたお盆を
精霊馬は、先祖を敬う気持ちを形にしたお盆の象徴です。
意味や由来を知ることで、その飾り付けがただの「行事」から、心のこもった「お迎えの準備」へと変わります。
作り方や飾る向き、処分方法にも配慮しながら、今年はぜひ想いを込めて精霊馬を準備してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。